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電磁波の健康被害
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遅れた警告 携帯電話の電磁波リスク

電磁波が健康に悪影響を及ぼすのではないかといわれ始めたのは、約20年前、今や電磁波問題は、欧米では関心の高い環境問題だ。欧州や北欧では、成長期の脳に影響を受けやすい16歳未満の子どもたちに携帯電話を使わせないようにしている。
一方、日本の携帯電話は2008年に1億1千台をこえ、キッズケータイの販売もすすむ。
そこで、多くの人が日常的に使う携帯電話の電磁波に焦点をあて、そのリスクを知りたいと考えた。荻野晃也さん(電磁波環境研究所)に、携帯電話の電磁波と予防原則に立った海外の携帯電話問題への先進的な研究や対策などについて聞いた。
また、宮田幹夫さん(北里研究所病院臨床環境医学センター)に、電磁波過敏症の研究と日本の状況について聞いた。
さらに、転地避難場所として、化学物質・電磁波過敏症などの環境病発症者に注目される福島県南会津町「あらかい健康キャンプ村」の取り組みについて、ルポ・ライターの古庄弘枝さんが取材した。


遅れた警告 携帯電話の電磁波リスク

親がキッズケータイを持たせる不思議 携帯電話リスク無視の国、日本(荻野晃也さん)

携帯電話の電磁波が人体に悪影響を及ぼすというのは、何となく聞いたことがあるけれど、本当に危険なのだろうか?そもそも今さら携帯電話をやめるわけにもいかないし…
と半ば疑いの目で向かったのは、電磁波の危険性を警告する電磁波環境研究所。理学博士で、同研究所を主宰する荻野晃也さんに聞いた携帯電話のリスクとはいかに?

携帯電話は、脳内の組織を温める小型の電子レンジ?

私たちの身の回りは、電磁波の発生源で満ちあふれている。送電線や変電所はもちろん、家庭の中の家電製品、そして肌身離さず生活をともにする携帯電話。そんな生活必需品から漏洩してくる電磁波が、白血病や脳腫瘍、ガン、果てはノイローゼや自殺とも関係しているかもしれないというのだから、ただごとではない。
「しかし」である。そもそも電磁波って、何なのだろうか。荻野晃也さんに聞いてみた。
「電磁波というのは、わかりやすく言えば、太陽光の仲間で電波のことです。電磁波にもいろいろあって、たとえば原爆の放射能から放出されるガンマ線やレントゲン撮影で使用されるエックス線も電磁波の仲間で、これらは太陽光よりもエネルギーが高く、細胞や遺伝子などの分子や原子をバラバラにする作用があり、発ガンの原因になったりします。太陽光よりもエネルギーの低い電磁波をおおむね電波と定義し、安全なものとして私たちは日常生活のあらゆるところに使用しているわけなのですが、それがどうも安全ではないらしいという研究が世界各地で出てきたというのが電磁波問題なんです」
そんな電磁波問題が世界中で議論されている間に、またたく間に普及してしまったのが携帯電話だ。普段、使用している分には危険性を感じないのだが、何が問題なのでしょう?
「携帯電話の電磁波は、マイクロ波と呼ばれる高周波で、これは他の電磁波にはない特徴をもっているんですね。たとえば、太陽の光を浴びると、髪の毛が熱くなったり、頬がほてったりしますよね。でも、携帯電話のマイクロ波は、頭の中へも入り込み大きな熱集中が発生するんです。これは、ホット・スポット効果と呼ばれていますが、ちょうど太陽光線を凸レンズで集めて黒い紙を燃やすのと同じような原理で、球状の脳内の組織の一部に電磁波が集中するわけです」
「ほぼ同じマイクロ波を使用している電子レンジを想像すれば、もっとわかりやすいと思いますが、あれは水分子を振動させ、摩擦熱を発生させることで食べ物を温めているのですが、それと同じようなことが携帯電話を使っている人の身体の中でも起きているんです。だから、私は『携帯電話は小型の電子レンジだ』と言っているんですね。携帯電話を使うと、ホット・スポットが人体組織のあちこちにできる。その影響がどのようになるのかが心配されているのです」

脳腫瘍、ガン、精子…。急増する「影響あり」の研究報告

荻野さんによれば、マイクロ波をめぐっては、戦後早くから軍事用のレーダーを扱う軍人に脳腫瘍や白内障が多いという研究がいくつもあり、その危険性が指摘されてきたのだという。そのため、携帯電話でも脳腫瘍が増加するのではないかといわれ、欧米を中心に大議論がなされ、実際、米国では90年代以降、世界最大の携帯電話メーカーのモトローラ社員が脳腫瘍を訴えるなど多くの訴訟が行われている。01年には、「メーカーが携帯電話の危険性を消費者に知らせなかった」とする集団訴訟(※)があり、裁判そのものは却下されたものの、この訴訟を契機に欧米ではメーカーが防護グッズを添付するようになった。
また、99年には初めて携帯電話ユーザーに脳腫瘍が多いとする疫学研究がスウェーデンで発表された。このハーデル論文は、左側で携帯電話を使用している人では左側の脳腫瘍が2.5倍に増加していて、その反対側では増加が見られないという衝撃的な内容だった。脳腫瘍以外にも、目のガンや聴神経腫瘍の急増、脳波の変動、頭痛・記憶喪失の増加、脳の生理機能への影響など、携帯電話が人体に「影響あり」とする研究事例は枚挙にいとまがない。
なかでも荻野さんが今最も懸念しているのが、精子への影響だという。
「目や睾丸が熱に大変弱いということは、昔からわかっていたのですが、この数年、携帯電話で精子がやられているという研究論文が急激に増え始めたんですね。それはもうすごいですよ」。そう言って、荻野さんが見せてくれたリストには、携帯電話などの高周波が精子に影響を与えているとする世界中の研究論文がズラリと並ぶ。
たとえば、徳島大学が08年に発表した研究によれば、一般に使用されている携帯電話の電磁波を兎の睾丸に被爆させ続けると、最初の数週間は変化が見られないが、6週目から精子濃度の現象が現れ始め、10週目には動き回る精子の割合が顕著に低下するという。荻野さんは携帯電話をズボンのポケットに入れるのはやめた方がよい、と指摘する。
「最初は影響がなくても、ある一定期間を超えると、精子の濃度や活動がガクッと減る。精子への影響も脳腫瘍の問題も、短期間の使用についてはほぼ影響ないということで研究者の間では一致しているのですが、問題は長期間の使用なんです。特に脳腫瘍や白血病は、もともとガン化するまでに10年以上の潜伏期間がありますから、携帯電話の使用者も普及から10年以上経って初めてガンになる可能性が高くなってきているのです」

EUは、日本の1万分の1の規制値を目指す

携帯電話をめぐる数々の研究報告には驚かされるが、何より問題なのは、こうした携帯電話のリスクが日本ではほとんど知らされていないということだ。欧米などに比べて、電磁波問題に関する報道が極端に少ないのは、電力会社や携帯電話会社などのスポンサー圧力が強いからではないか、と荻野さんは推測する。
「一度、NHKとイギリスのBBC放送を比較したことがあるのですが、BBCは携帯電話などの電磁波問題を半年で約30回放送したのに対し、NHKは2〜3回。しかも、『危険性あり』の内容はBBCのものを衛星放送で流した1回だけで、どちらかというと日本はマスコミが『影響なし』という宣伝に加担していると言ってもいいぐらいです。特に03年、電磁波騒ぎを演じた白装束集団をワイドショーがこぞって報道して以来、パタリと取り上げられなくなりました。
危険性が知らされなければ、その対応も自ずと他国とは異なったものになる。とりわけ深刻なのは、子どもの携帯電話の使用だ。
「子どもの頭は小さく、頭蓋骨も薄くて軟らかいので、大人の場合よりもホット・スポットが脳内の奥深くまで侵入することがわかっています。5歳児だと、脳全体に電磁波が入り込む。だから、欧州や東欧などでは16歳以下の子どもに携帯を使わせないことが常識になっているのに、日本では逆に親がキッズケータイを持たせる。日韓サッカーW杯の時、ヨーロッパの人たちは日本の子どもたちが携帯電話を持っているのを見て驚いたそうですが、世界から見れば、日本は不思議な国です。子どもについては、自動車の運転や喫煙を禁止しているように、携帯電話も使用禁止を真剣に考えるべきです」
また、法律によって規定された高周波の規制値も、日本は緩い。日本の600μW/平方センチメートル(900メガヘルツの場合)という規制値は、WHO(世界保健機構)の専門組織ICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)のガイドライン値(上限値450μW/平方センチメートル)よりも高く、厳しい規制値を設けるスイスやイタリア、中国、東欧諸国などの数十倍に相当するという。
「日本の規制値は携帯電話の電磁波研究がほとんどなかった時に決められた古いものなのですが、今やEUは日本の1万分の1に当たる規制値を目指していますし、WHOでも安全とはいいきれなくなった電磁波問題の見直し作業を進めていることを考えれば、日本はあまりにも遅れすぎています」

リスク回避の“予防原則”は、環境問題の基本の考え方

ただ、現時点では、携帯電話の危険性が100%確定したわけではない。というのも、電磁波問題では疫学研究(多数集団を対象とした統計的学問)が先行しており、たとえば携帯電話の電磁波が脳腫瘍を誘発するメカニズムそのものについてはまだはっきりわかっていないからだ。
「それでも欧米をはじめとする多くの国々が携帯電話を問題にし、規制を強めているのは、危険の可能性が高いなら、慎重にリスクを回避しようとする“予防原則”に基づいているからなんです。この予防原則は、地球環境問題の基本思想でもあるのですが、これだけ危険代という研究が多い中で、取り返しがつかなくなってから対応していたのでは遅いんです」
では、私たちはどのようにして身を守ればよいのでしょうか。
「まず、人体に吸収される熱量の大きさを示すSAR値の低い機種を選んでください。SAR値は、欧米ではケースに記載されていますが、日本ではインターネットに限定して表示しています。日本の法律では、SAR値は10グラム当たり2・0W/kgですが、できる限り1グラム当たりのSAR値が低いものを使うようにしてください。それから、イヤホンを使うなどして、できるだけ頭から離して使用する。あとは、長時間の使用を避けて、使わないときは電源を切っておくこと。そうした心がけで被爆量は大幅に減ります」
ちなみに、使用時の被爆強度は、コードレス電話(1)、PHS(10)、携帯電話(50)だという。
最後に、荻野さんは、自身が電磁波問題に取り組むきっかけとなったという人類と電磁波の壮大な歴史について教えてくれた。
「電磁波というのは、太古の昔から自然界にあるのですが、実はヒューマン共振と呼ばれる地球の電磁波と人間の脳波が非常によく似ていて、それを見た時に、電磁波は生命の誕生は進化の過程と深く関係しているのではないか、と思ったんですね」
生命が誕生した37億年前、陸上では電離放射線などが強く、生命は誕生できなかった。荻野さんは、生命を生んだのは太陽光線も届かない深海だったと考えており、その際のエネルギー源が電磁波だったと考えれば、DNAが螺旋構造である理由など、さまざまな生命の謎に説明がつく、と離す。
「もともとは太陽光も紫外線も、すべての電磁波は生体に何らかの毒性を与える危険なものだったのですが、生命は37億年の進化の過程で、電磁波から身を守る機能を獲得し、対応できた生物だけが今に生き残ってきたんです。ところが、その自然界にはまったく存在しない、しかも数十倍もの高周波や電磁波が充満した今の状態で、人体に影響がないはずがない、というのが私を含めた研究者たちの考えの根底にはあるんです。長い進化の過程で一度も経験したことがない携帯電話のマイクロ波に対処できる機能を、この地球上の生物がもち合わせているのかどうか、それが今問われているのです」


遅れた警告 携帯電話の電磁波リスク

最新型携帯の変調波が身体に影響を与える

「身体の細胞は電気で、しかもごく微弱なもので動いているんですね。だから、電磁波が身体に影響しないわけがないんです」。北里研究所病院化学物質過敏症外来の宮田幹夫医師は、こう語る。
99年にオープンした同外来に電磁波過敏症の患者さんが訪れるようになったのは、8年ぐらい前からだという。頭痛、皮膚のチクチク感や、不定愁訴、また関節痛などを訴えている。テレビ、冷蔵庫、コンピュータなどの家庭機器からも電磁波は出ているが、特に肌身離さず持ち歩く携帯電話の影響は大きい。
昔の電磁波はサイン波といって、単一の周波数成分のみを持つ波動だったのが、最新型のものは、情報量を多く流すために、波の周波数の変化で伝達する変調波を用いている。その変調波が、身体に影響を与えやすいといわれているのだ。
「電磁波は身体を酸化させるんですね。ですから酸化防止装置の少ない精子は、電磁波により死んでしまうことがわかっています。また、神経を変性させ、認知症、筋萎縮性側索硬化症などになるとの報告もあります」
宮田医師が電磁波の恐ろしさを目の当たりにしたのは、今から約18年前。アメリカで、「磁場をかけるとナメクジが整列する」「人に電磁波をかけると痙攣発作を起こす」といった実験結果を聞き、愕然としたという。
その後、電磁波過敏症という言葉が日本でも使われるようになったが、電磁波過敏症は診断の難しさも知られている。
「厄介なのは、いわゆる電磁波過敏症の人と健常者に、新型の携帯と同じ周波数の電磁波をかけると、過敏の人だけでなく健常者も作業効率が悪くなるんです。先ほども言いましたが、人の身体にも電気が通っていますから、電磁波の影響は誰しも受けるんですね。ですから、逆に言うと、身体の変調といった症状の出る電磁波に対して感受性の強い人たちというのは、電磁波の危険性を前もって知ることのできる“エリート”と言えるのかもしれません」

WHO、電磁波は殺虫剤と同等の発ガン性

海外では、電磁波の影響で白血病にかかる率が増すといった事例も報告されている。WHO(世界保健機関)は発ガン性の要因を「クラス1」「クラス2A」「クラス2B」と分類しているが、超低周波電磁波は「クラス2B」に属す。このクラスには、DDT(有機塩素殺虫剤)など、かなり以前に使用中止になった殺虫剤が含まれているほどだ。
最も電磁波過敏症の研究が進んでいるといわれるスウェーデンでは、電磁波過敏症の人が人口の約1パーセント存在するといわれており、高圧線の約140メートル以内には家を建てないように勧告も出ている。
一方の日本は、目に見えず、匂いもなく、また症状もわかりづらい電磁波は野放しにされている。電磁波過敏症が正式な病名登録されるにはまだまだ時間がかかるだろうと、宮田医師は言う。「化学物質過敏症も、今から50年以上前にアメリカでセロン・G・ランドフルという人が言い出したんですが、最近ようやく病名登録されました。日本でも単に病名が載ったというだけであって、正式に認められるまでにはまだまだ時間がかかるでしょう。まして電磁波過敏症となると、いつになるか見当もつきません」
では、電磁波とうまくつき合っていくには、どうしたらいいのだろう?
「先ほども言いましたように、電磁波は身体を酸化するので、ビタミンCを取ることですね。また、神経系の過敏症を抑えるのにマグネシウムが効きますので、適量のにがりを取るのもおすすめです。あとは、理論的にはカルシウムですね」
また距離の2乗で電磁波は弱くなるので、高圧線、変電所のそばをなるべく避け、携帯電話もなるべくポケットではなくカバンに入れるだけでも、かなり影響を免れる。また、家庭のコンセントは、アース付きのものを使うとよいという。
「要するに、バブルの前の世代、つまりおばあちゃんの世代くらいの生活に戻るのがいいかもしれませんね」と宮田医師。電磁波を考えることは、実は自分の生活や生き方とも密接にかかわっている。携帯やコンピュータの電源をオフする時間が、電磁波から身を守るだけでなく、自分の生活や生き方を見直す時間になるかもしれない。

(『THE BIG ISSUE JAPAN』 142号 2010.5.1発行)