第10回 病歴53年のアトピー性皮膚炎
子どもに多いアトピー性皮膚炎だが、貴峰道に来る人の中には病歴の長い大人のアトピー患者も少なくない。東京都練馬区の会社員、今田健司さん(仮名、53歳)は、アトピー性皮膚炎の病歴53年。平成21年12月に貴峰道に来てから劇的に回復し、わずか1カ月でほぼ完治したという今田さんに、50年以上の治療歴とごしんじょう療法の効果を聞いた。
生後10カ月に発症、ステロイド歴25年
「私がアトピー性皮膚炎になったのは、生後10カ月の時。腸の一部が腸にもぐり込んでしまう腸重積(ちょうじゅうせき)という病気で手術をした際、大量に輸血したことから体質が変わり、アトピー性皮膚炎と小児ぜんそくになりました」
今田さんのアトピーとぜんそくは、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返していたが、ぜんそくは10歳のころに自然に治った。だが、アトピーはその後どんどん悪化していく。
「私の場合、皮膚炎は顔にほとんど出ないのですが、膝、肘、腰など関節の部分を中心に、体全体が痒くて痒くてたまらなくなりました。我慢できないので掻きむしってしまい、体のあちこちから血が出るという状態で、私自身も大変でしたが、掻きむしって血だらけになっている私を毎日見ている母親が『代わってあげたくても代わってやれない』という辛い思いをしていました。病院ではあらゆる薬を処方され、それでも治らないのでどんどん強い薬になっていきました」
40年以上前、まだアトピー性皮膚炎は少数派の病気で情報も少なかった。家族は今田さんの病気を心配し、重症化している時などは家族みんなが通常の生活ができなくなり、悲痛な思いをしていたという。
今田さんが15歳のころ、医師から「もうステロイドしかない」と言われ、ステロイド外用薬を始めた。ステロイド外用薬がアトピー性皮膚炎治療の主流になり始めたころだった。
それから40歳までの25年間、今田さんはステロイドが手放せない日々を送る。「ステロイドを含め、日本に出回っているアトピーの治療薬の全部を私は使ったと思いますよ」と今田さんはいう。
「痒み」は「痛み」よりも耐えられない
ステロイド外用薬の使用について、今田さんは次のように振り返る。
「炎症がひどくて、痒みを我慢できない時、ステロイドを塗れば確かに次の日にはきれいになります。だからステロイドを否定しません。でも、ステロイドをやめれば100%再発します。ステロイドは治しているのではなく、悪いものを隠しているだけということが実感できます。またステロイドは、そのうちに効かなくなってますます強いものを求めます。母は副作用の心配もあり、できればステロイドを使わせたくなかったのですが、あまりに痒がって目茶苦茶になっている私がかわいそうだから、つい病院に駆け込んで、より強いステロイドを使っちゃうのです」
今田さんによれば、アトピーには症状が落ち着いたり悪化したりするバイオリズムがあるという。今田さんの場合、約3カ月周期でその波がきていたため、ステロイドを使いながら、受験や就職も乗り越えてきた。
だが、どんどん強いステロイドを使用していった結果、「もう対処するステロイドがない」という状況になり、40歳の時に使用をやめた。
今田さんは平成17年7月、49歳の時に胃がんの手術を受け、胃の3分の2を切除している。
「手術後の痛みは辛かったです。筋肉を切除した後の痛みは猛烈なもので、1週間眠れませんでした。しかし、私が感じたのは、痛みは耐えられるけれども、本当に酷いアトピーの痒みは耐えられないということです。アトピーと胃の手術を比較し、この世で痒みほど辛いものはないことを痛感しました」と今田さんは話す。
「地獄の苦しみ」からの解放
今田さんのアトピー性皮膚炎は、平成21年7月ごろから痒みが急速に過激になった。
皮膚科では塗り薬だけでなく抗アレルギー薬を投与され、我慢できない時に飲むようになり、それが頻繁になった。
夜11時から朝5時半まで、痒みの発作で全く眠ることができず、睡眠時間は出勤までのわずか30分程度。昼間は痒みが出ないため、なんとか仕事をするが、睡眠時間が30分という日々が3カ月以上続いた。
「この年齢で仕事を失ったら生きていけない」と思い、今田さんは気合いで膨大な仕事をこなしていたが、仕事中に意識がもうろうとすることがあり、次第に仕事に集中できなくなった。
「毎晩襲ってくる痒みの発作は、人間が我慢できる範ちゅうを超えたものでした。眠れないことで自分がどうなってしまうのかという強い恐怖心もありました。発作は拷問のようであり、毎日毎日、地獄の苦しみでした。とくに骨が入り組んでいる関節の部分の痒みは言葉では言い尽くせないほど辛いもので、骨の芯から悪いものが次から次に湧いて出てくるような感覚です。私の感覚的には、アトピーとは皮膚の病気ではなく、骨の病気だと思うほどでした」
今田さんが「地獄の苦しみ」の中にいる平成21年12月、今田さんの母親と妹から、ごしんじょう療法を勧められ、ごしんじょう療法のことを知る。妹は、風邪でないのに咳が数カ月間止まらない状態が続いていたが、ごしんじょう療法をやっている貴田晞照氏の弟子から治療を受けたところ、1回の治療で咳が止まったという。
今田さんは、妹に紹介された治療家からごしんじょう療法を受けた。治療後の爽快感から極めて治療効果が高いことを直感し、平成21年12月23日に貴峰道へ。そこで衝撃的な治療効果を実感する。
「ごしんじょうが悪いところにあたると、とにかく痛く、火傷しそうなくらいに熱いんです。焼け火鉢に突っ込むような猛烈な熱さです。同時にビリビリと悪いものがいっぱい手足から出ていく感覚もありました。ところが治療後は全身がさっぱりし、痒みがなくなり、体全体がものすごく楽でした。おかげでその日はぐっすり眠りました。50年以上アトピー治療を続けていて、これほど効果があり、即効性のある治療は初めてでした」
痒い時はごしんじょうで擦る
平成21年12月26日、2回目の治療後はさらに体が爽快になった。その日に貴峰道でごしんじょうを譲ってもらい、正月休みに実家で母親に毎日治療してもらったという。
「母の治療のおかげで正月休みのうちに、みるみる皮膚がきれいになりました。夜は熟睡できますし、今年1月からの仕事の質も大幅に改善しました。その後も上京してきた母に会う度に、指にタコができるほど熱心に治療してくれます。50年以上、息子のアトピー性皮膚炎に苦しんだ母親が、いま、76歳のおばあちゃんになって、息子の皮膚を自ら治せることを喜びとし、ごしんじょう療法を生きがいにしています。ごしんじょうによって、あらためて親子の絆を感じています」
今田さんが貴峰道で治療を受けるのは月に2、3回。今田さんの劇的な回復は、毎日自身で治療しながら、母親の心のこもった治療を受けた結果だろう。
「現在、体のほとんどの痒みは消え、皮膚も完全にきれいになりました。邪気が下に降りてきた感覚もあり、たまに膝やくるぶしが痒くなりますが、痒さの程度は以前の10分の1で、ごしんじょう治療をすればその場で痒みが消えます。ごしんじょうで擦ると本当にスッキリするんですよ。『痒くても掻いてはいけない』がアトピー治療の常識です。しかしごしんじょう療法のすごいところは、その常識を覆し、ごしんじょうで痒いところを掻けるということ。貴峰道に来る前は、痒いところを爪で掻いていたので全身血だらけでしたが、ごしんじょうは先が丸いので、掻いても皮膚が傷つかないうえに大変気持ちがいい。しかも邪気がとれてスッとして楽になるのです。掻いていいのだから、これ以上の治療はないですね」
今田さんは長年、皮膚の痒みとともに「骨の芯から悪いものが湧き出てくる」感覚に苦しめられてきた。同じ経験がなければなかなか理解できないことだが、ごしんじょう療法の実践を通して、今田さんはその湧き出てくるものが邪気の一部だったと理解しているという。
ごしんじょう療法によって、53年間の「地獄の苦しみ」から救われ、アトピー性皮膚炎の完全克服まであと一息。
「私の病歴53年間というのは世界でもトップクラスでギネスに載るほどのアトピー性皮膚炎だと思います。それがわずか1、2回の治療で痒みがほとんど消え、約1カ月で皮膚がきれいになりました。以前と同じようにパソコン業務を一日中やっているにもかかわらずです。その体験から言えるのは、アトピー性皮膚炎を根本治療できるのはごしんじょう療法以外に存在しないのではないかということです。ごしんじょう療法が世の中に知れたら、大変な社会現象になると思いますが、私のように地獄の苦しみの中にいるアトピー患者の方たちがごしんじょう療法で救われることを望んでいます」
平成22年3月13日
久保田正子
ごしんじょう療法を行う治療院、施術所は全国各地にありますが、本療法は習得度によって治療効果に大きな差があります。中には高額の施術料を請求している施術所もありますが、貴峰道とは一切関係ありませんのでご注意ください。地方で施術を受けたい方は、必ず貴峰道にお問い合わせください。