第25回 ジストニア〜顎のこわばりで発音困難の声優、急速に快方へ〜
ジストニアは、自分の意思に反して全身や体の一部の筋肉の収縮や硬直が持続する原因不明の病気である。これといった治療法はなく、患者数は国内で数万人とされる。貴峰道では近年、このジストニアの患者が増えているが、驚くほど著効する症例を積み重ねている。「1度の治療で症状が劇的に改善した」と喜ぶ声優から、3度目の治療後、話を聞いた。
話しながら歯を食いしばり、奥歯欠けた
東京都の太田武史さん(仮名、35歳)の仕事は話すこと。ユーモアたっぷりのアドリブが人気のナレーションの仕事をメーンに、声優として活躍している。それが1年前、突然の異変が太田さんを襲った。
「仕事の時に話しづらいと思ったのが最初です。おかしいな、普通にしゃべれないな、と。そのうち、マイクの前で話そうとすると、口や首のまわりの筋肉がこわばり、無意識に歯を食いしばってしまうようになったんです。どうしても顎に力が入って上下の歯が離れないので、仕事の時は歯を食いしばったまま話さなければならなくなりました」
太田さんの場合、仕事が終わった直後の数時間は顎のこわばりが続くが、基本的に仕事以外の日常生活では、その症状が出ず、普通に楽な状態で話せた。ごくたまに友人同士の飲み会などで症状が出ることがあったが、仕事の時は毎回必ず激しい症状となった。仕事中でも、話すのをやめると口を開けることができたという。そのため、周囲の人たちからは「仕事に対する精神的ストレスが原因だ」と言われたが、太田さんはその度に反発した。
「俺はストレスなんて感じてない。声優の仕事は大好きで、楽しくて仕方がないんだ」
だが、症状は次第に悪化。仕事中の歯の食いしばりはますます強烈になり、ひとたび硬直した顎は自分でも全くコントロールが効かない。歯ぎしりはもちろんだが、自らの噛む圧力で下顎が次第にギシギシと左側によじれ、仕事中に話しながら奥歯が欠けてしまったという。
ジストニア診断受けるも効果的治療法なく
太田さんが病院へ行こうと思ったのは平成23年8月。人気男性デュオ「コブクロ」の小渕健太郎さんが、声を出そうとすると首のあたりの筋肉が異常にこわばって発声しづらくなる「発声時頸部ジストニア」によって活動を休止するというニュースを見た友人から、「君の症状と同じじゃないか」と指摘されたことがきっかけだった。
早速病院へ行くと、予想通り「ジストニア」と診断された。太田さんは何かを食べたり、口に物を含んでいたりすると話しやすくなったが、医師からは、「何か刺激を与えると症状が改善されることがある点もジストニアの特徴です」と説明されたという。
だが、せっかく診断を受けても、改善策はなかった。
「ジストニアというのは、発病の原因やメカニズムがまだ何も分かっていないんです。必ず治るという治療法もない。医者からは『症状がきつい場合、それを抑える薬があります。薬が効く人もいますが、どうしますか』ときかれましたが、そもそもジストニア自体が何だか分からないのに、効くかどうかも分からない薬を飲みたくないと思い、薬物治療はしませんでした」
太田さんは症状改善のため、知人から紹介された心身の訓練法を始めた。その訓練法は、肉体の不要な動きを抑制するトレーニングだが、頭と脊椎の関係をイメージすることが重要で集中力が必要となる。トレーニングが非常にうまくできた時には多少症状が改善する感覚はあったが、特別な集中を要するトレーニングの負担が大きい割には効果が低く、たいていの場合は効果が感じられなかった。
太田さんのナレーションの仕事は、ただでさえアドリブで頭をフル回転させる大変な仕事だ。それを太田さんは、症状の進行や仕事を続けられるかどうかの不安を抱え、文字通り歯を食いしばりながら、なんとかこなす状態が続いたという。
「ビリビリジンジン体操」でまず効果
ジストニア発症から1年経ち、太田さんは今年6月16日に開催されたジストニアの患者会に参加した。症状別に分かれ、同じ症状に悩む人たちと交流したが、話題は薬やボツリヌス療法(ボツリヌス菌をけいれんの起きている筋肉に注射し筋肉の緊張を緩める治療法)などの治療法があまり効かないという話ばかり。ジストニアの治療法が存在しないことを再認識したという。
その翌日だった。夜中に突然、父親から電話があった。
「本を送るから、とにかく読んでみてほしい。いいと思ったら治療してみたらどうか」
太田さんの母がたまたま図書館で借りた『奇跡の医療』(豊田正義著、幻冬舎刊)を父が読んだという。
太田さんは届いた本を読み、衝撃を受け、すぐに貴峰道に電話をした。
「本に書いてある貴田先生の電磁波の理論に、ものすごく納得しました。ナレーションというのは、多数のモニターや音響装置に囲まれて、常にヘッドホンをつけてする仕事です。僕は頭部などに電磁波を大量に浴びた影響で、体内に非常に強い邪気が溜まっている。だから異常が起きていると感じました。
予約の電話を入れた時、貴田先生から、資料を送るのでまず自分の手で実践するよう説明を受け、翌日届いた資料の中に自分の手で邪気を取る方法『ビリビリジンジン体操』(※)のやり方が入っていました。すぐに自分で実践したところ、手がビリビリとし、こわばりの後の筋肉の疲労がとれたんです。信じられないことですが、ごしんじょう療法を受ける前から自分の手で治療の効果を実感できました」
1度で「食いしばり」解消 妻が「男前になった」
初回の治療は6月21日だった。
太田さんは治療中、自分で「ビリビリジンジン体操」をした時よりも強く手がビリビリと感じ、邪気が大量に出る感覚を味わったという。
「マッサージで体が軽くなったりしますが、ごしんじょう療法はそんな『軽くなった』というレベルではなく、目が覚めた、あるいは生まれ変わったような感覚で、体全体が力強くなる感じでした。予想外の効果としては、気持ちの上がり方がすごかったことです。自分ではジストニアになっても頑張って仕事を続けていたし、落ち込んでないと思っていたんですが、実は気持ちが落ちていたんですね。ごしんじょう療法の後、あまりに爽快で気持ちが晴れやかになり、驚くほど元気になったので、そのことに初めて気づきました。
その夜、駅で待ち合わせていた妻が僕を見て、『男前になった』と喜んでいるのにも驚きました。男前という表現はすごく意外でしたが、それもごしんじょう療法の効果で、顔つきもいきいきしていたんでしょうね」
効果は翌日の仕事でさらに実感した。
これまで歯を食いしばりながらナレーションしていた太田さんだったが、歯は閉じていても、強く食いしばるほどではなくなったという。貴峰道で貴田晞照氏から「手は第二のごしんじょう」と教わった通り、手で顎や口のまわりを押さえながら話すと、楽に話すことができたという。
邪気を取り除くことが肝要
2回目の治療は28日だったが、その翌日の仕事では、さらにうれしい治療効果を実感。2度目の治療時に「顔を爪で押さえるともっと邪気が出る」と教わった通り、爪で顔を押さえながら話すと、「こんなに楽に話せるのはいつ以来だろう」と思うほど楽に話すことができたという。
その翌日の仕事では少し調子を落とし、自分で毎日「ビリビリジンジン体操」をやり続けたという太田さん。すると、7月2日、ナレーションの仕事中、一度も顔を手で押さえることなく、話すことができたという。
「合間で多少こわばりはあったんですが、手で押さえなくても歯を食いしばらず話し続けることができたなんて、こんなにうれしいことはありません」
太田さんの症例は医学的には説明のつかない劇的な回復だが、貴田氏に言わせれば、「溜まっていた邪気を取り除いただけ」に過ぎない。
貴田氏は言う。
「太田さんの場合、頭や顎、口腔内、首、肩に強い邪気がありました。ご自分の手でやってもビリビリ感じるほどの邪気ですから、大量の邪気です。ごしんじょう療法では、その邪気を取り除いたため、脳の神経情報伝達が良くなり、本来の運動機能が戻ったのです。
ジストニアは急増していますが、その本質は邪気です。邪気とは、今の科学の言葉でいえば、過剰な電磁気エネルギーです。脳と症状が出ている部位に大量の邪気があり、緊張した時にさらに脳に邪気が生じるので、神経伝達、運動機能に不具合が出るのです。ごしんじょう療法でその邪気を取り除き、生命エネルギーの場を正し、脳の電位が下がれば、自ずと症状が改善されるのです」
「面白い。治療が楽しみで仕方ない」
太田さんにとって、子供のころから憧れていた声優の仕事で生活できることは何よりの喜びという。
「僕がジストニアになったのは、仕事のストレスなんかじゃない。電磁波などによる邪気だったんです。邪気を取れば、取れた分だけ症状が改善する。その事実が、僕のジストニアの原因がストレスじゃないことを証明しています。だって、僕にとって好きな仕事ができなくなることの方が辛く、強いストレスになるんですから」
確かに、貴田氏の理論では、ストレスや過労も邪気を生じさせる要因ではあるが、電磁波が非常に強い邪気を生じさせるとしている。
太田さんは、母が図書館で本を借り、父がそれを読んで夜中に知らせてくれたおかげでごしんじょう療法に出合えた。「両親には感謝ですね。ごしんじょう療法は、自分の手で『ビリビリジンジン体操』をするだけで効果を実感できるなんて、信じられない治療法です。最初に電話で問い合わせただけで自分の手でできる治療法を教えてくれたことにも感謝しています。おかげで治療前から体が楽になり、希望が持てたのですから。まだ3回しか治療を受けていませんが、これほどの効果を体験すると、好奇心を掻き立てられます。ごしんじょう療法は本当に面白い。貴峰道に通うのが楽しみです」
「ごしんじょう療法の唯一の欠点は人に信じてもらえないこと」(貴田氏)というように、ごしんじょう療法ほど人に信じてもらえない治療法はないだろう。その理由を、かつて脳科学者の松本元博士は「ごしんじょう療法が人間の想像力をはるかに超えているからです」と端的に言い切った。
太田さんは先月、患者会に参加したばかり。「信じるかどうかは相手の問題です。僕は、同じ症状で悩む人たちのために、ごしんじょう療法の事実をありのままに伝えていきたい」と意気込んでいる。
平成24年7月20日
久保田正子
※「ビリビリジンジン体操」は貴田氏が考案した邪気を取る体操。ごしんじょうを持たなくても、自分の手で邪気を取るのが目的。詳しくはこちらへ。