第28回 ジストニア〜体の中心が釣り上げられる緊張感と痛みが解消〜
脳や神経系統の何らかの障害により、全身あるいは身体の一部の筋肉が意に反して収縮したり硬くなったりする難治性の疾患「ジストニア」。これという治療法がないため、症状の進行を食い止めることさえも難しい難病だが、ごしんじょう療法では次々と治療効果をあげ、現代医学では信じがたい臨床例を積み重ねている。第25回、26回に続き、今回も「ジストニア」と診断された方の症例を紹介する。
「肩こり治療から発症」
ボランティアで海外協力の活動をしている田中秋子さん(仮名、54歳)を3年半もの間、苦しめた続けた症状は、「頭や首、肩の激痛」と「常に頭頂から天に糸で釣り上げられ、脊柱とその周囲の筋肉の異常な引きつり、緊張感がとれない」というもの。常時、体が釣り上げられる苦痛とは如何ばかりであろう。発症のきっかけについて、田中さんは意外にも「首と肩のコリ治療だったとしか思えない」と語る。
「頑固な肩こりがあったので、平成20年8月、特殊な電動バイブレーターで脊柱の筋を緩める治療を始めました。1回2時間、月1回、脊椎やその周辺に強烈な痛みを感じる治療で、治療後は数日間背中に治療の痕が痣のように残りました。初回治療後は肩こりがスカッと良くなったのです。
マッサージでは治らなかった肩こり、首こりが改善され、治療を続ければ健康になるという言葉を信じて、拷問のような痛みを我慢して、その治療を半年以上続けた平成21年3月のある日、、左の首と肩が寝違えたように痛みで動かせない状態になったんです。痛みで首が回らないと思っていると、頭蓋骨と首の境界と頸椎左側にも強い痛みと引きつりを感じ、次第に痛みは左腕や背中に広がり、体の左側にナイフが突き刺さったような激痛になりました。寝違えの症状になる前から耳鳴りが生じ、微熱、睡眠障害も続いていました」
この明確な症状悪化を機に、田中さんはようやく苦痛だった肩こり治療を中止した。だが、ここから、症状の原因を検査し、効果ある治療を求める辛い日々が始まったという。
薬物療法もブロック注射も効果なし
田中さんはパソコンのインターネットで症状から逆引きし、東京でいいとされるペインクリニックは軒並み受診。「まさに“ドクターショッピング”状態でした」と振り返る。
病院でレントゲンを撮っても、整形外科的には全く異常が見つからない。病院では、頸部MRI検査の結果、「左横に極軽度のヘルニアがあるが、激痛の原因となるほど深刻ではない」と診断され、経口、座薬の痛み止め薬、点滴、注射での治療を行ったが、効果は全くなかった。
平成18年4月に肺がんが見つかり、経過観察をしていた中だったため、最初はがん治療の病院で担当医に「がんの手術を回避したいという気持ちが痛みの原因ではないか」と言われた。それに対し、田中さんは冷静に反論した。
「がんの告知を受けた時から、早く手術がしたいと思っていましたから、心因性の痛みというのは全く違います」
続いて受診した大学病院のペインクリニックでは「筋・筋膜性疼痛」と診断。病院で、押さえて痛む部分(トリガーポイント)に局所麻酔財を注射するトリガーポイント注射のほか、針治療等の治療を行うが、いずれの治療も効果はなく、星状神経節ブロック注射を開始した。
星状神経節ブロックもトリガーポイント注射と同様に麻酔を用いた治療法で、首の付け根付近にある星状神経節に局所麻酔薬を注射する。田中さんの場合、麻酔の影響で多少は痛みが軽減したが、それは一時的なもので、数時間で症状は元に戻り、体の引きつりは悪化するばかりで全く改善されなかった。
痛みと引きつりを抱える中、田中さんは平成21年7月、約3年間経過観察をしていた左肺がんの上葉下半分の切除手術を実施した。術後、開胸術後痛症候群の疼痛にも悩まされたが、薬物療法で術後疼痛はほぼ消失。しかし、手術前から田中さんを苦しめる首、肩、背中の痛みと引きつりは、しぶとく残ったという。
「四六時中、痛みと引きつりがあり、全身が痛くなる日もありました。いろいろな病気を疑い、ありとあらゆる鎮痛剤を試しましたが、首肩背中の激痛は炎症ではないので、全く薬が効きませんでした。星状神経節ブロックを20回以上行っても、一向に症状が改善されず、別の病院では腕神経ブロックを実施しました。それも効果はなく、ある病院では『筋肉が血管、神経の通り道を圧迫する胸郭出口症候群かもしれない』と診断されました。病院での治療のほかに、インターネットで調べて知り得るマッサージや温熱療法、ストレッチ等などさまざまな民間療法をも試みましたが、症状は全く改善されませんでした」(田中さん)
病院を転々とし、病名が確定できないため治療法も定まらない。痛みと引きつりの苦痛は、不安を伴い、次第に増幅されていった。
ジストニアと診断されるも、ボツリヌス注射に限界
そうして平成22年3月、田中さんはたまたま書店で手にした本から「ジストニア」の存在を知り、脳が休んでいる睡眠中は症状が軽減されるという状態がジストニアの症状に当てはまると感じた。ジストニア専門の病院で診察を受けたところ、「ジストニア」との診断を受けた。「常時、天から体の中心が糸で釣り上げられている緊張感」の症状は、ジストニアの病名を得てようやく説明がついたという。
だが、ジストニアは現代医学ではこれという治療法がない疾患である。そこで田中さんは、代表的な対症療法であるボトックス注射を始めた。
ボトックス注射とは、微量のボツリヌス毒素を症状のある筋肉に注射し、筋緊張を緩める治療法。痛みの軽減という意味で多少効果はあったが、神経を破壊する薬の影響で、数週間にわたり左手が麻痺して動かなくなるという不便が生じた。また、脳神経外科では体の深い部分には注射できないため、「体の中心が引きつる」という田中さんには効果は極めて薄いものだった。
そこで効果ある治療を求めて、ボツリヌス治療を行うペインクリニック病院に転院したという。
ボツリヌス治療を約1年継続した後、担当の女医に「長期のボトックス注射は勧められない」と言われ、平成23年7月、飲み薬とモルヒネパッチを提案された。
処方された薬は、消炎鎮痛剤「セレコックス」、抗てんかん薬「リボトリール」、抗うつ剤「トリプタノール」と医療用麻薬モルヒネの貼り薬「デュロテップパッチ」、そして副作用を抑える胃薬。この投薬治療で、ようやく、痛みの軽減が実感できたという。
田中さんはいう。
「私のように難治性の痛みを抱える患者は、どんなに治療してもなかなか治らないし、精神的な疾患も疑われてしまうので、病院にとっては本当に面倒くさい困った患者なんですね。それでもモルヒネパッチを提案してくれた女医さんは、『なんとか治してあげたい』と一生懸命でしたので、安心して相談できる存在になりました。しかし、モルヒネで多少の痛みを軽減できても、痛みが完全に消えることはなく、体の中心が天から糸で引きつられている緊張感は全く改善されないので、いつ病気が完治するのか全く分からず、不安な毎日でした」
病気に対する不安は依然抱えていたが、モルヒネパッチで痛み少し治まったことが田中さんには転機になった。
少し外出して元気になろうという感情が起こり、病気が発症するまで通っていた皮膚科兼エステティックサロンを久しぶりに訪れてみようと思ったのだ。
施術を受けながら、なじみのエステティシャンとの久々の会話。自身の症状を打ち明けた田中さんに、エステティシャンは「ごしんじょう療法というのがあるんですよ。治療院には全国から難病の人が次々と治療に来ていて、みんな良くなっているんです。田中さんも受けてみたらどうですか?」と提案してきたという。
「私が病気で皮膚科兼エステの施術を中断している間、彼女はごしんじょう療法と出合い、治療の勉強を始めていたんですね。彼女は『試しにやってみましょう』と言って、その場で自分のごしんじょうを取り出し、5分程度、私の頭を治療してくれたんです。そうしたら、ものすごく重かった頭がこれまで感じたことがないほど、スッキリ爽やかになりました。症状が改善されるのなら、どんな治療でも受けてみたいと思っていましたので、彼女からごしんじょう療法のことが書かれた本『奇跡の医療』(豊田正義著、幻冬舎刊)を借りて読みました。ジストニアで症状が出るのは、脳からの信号異常ですし、電磁波の理論も納得のいくものでしたので、すぐに貴峰道に治療に行くことを決めました」
そうして平成24年6月7日、田中さんは初めて貴峰道を訪れた。
急激に引きつりの症状が改善
「初回の治療では、ごしんじょうで軽く擦られているだけなのに、とにかくものすごく痛くて驚きました。貴田先生もおーっと声をあげて、すごく溜まっているとおっしゃっていました。治療中はこんなに痛くて大丈夫かと思いましたが、治療後に体が軽くなっている実感があり、治療を続けようと決心しました。そのことを紹介者の彼女に伝えたところ、『ごしんじょうの施術で先生が声を出しているところなんて、聞いたことないですよ。よほど邪気が溜まっているんですね』と言われたので、週に1回、治療を続けました」
田中さんは6月9、16、19、26日、7月5、13、25日…というペースで治療を続けた。治療の度に体が楽になるのを実感し、7月になったころから、ふと痛みと引きつりが消えていることに気づいたという。
「この3年半で最も効果を感じていたモルヒネパッチでも、痛みは完全に取れませんでしたし、引きつりには全く効果がなく、1年近く低空飛行のままでしたが、ごしんじょう療法によって、一番辛かった引きつりがなくなったんです。体が引きつらないということは、本当に楽です。治療を受ける度に、最初に感じたごしんじょうの痛みはなくなり、徐々に邪気が出ていく感覚も分かりつつあります。今日(平成24年9月13日)は治療中、足の裏からザーッと邪気が出ていく感覚がありました。とにかく、医学的に理由は分かりませんが、ごしんじょう療法に確かな効果を実感しているので、通い続けています」
体の軸となる部分に常にあった引きつりを感じなくなったのは、3年半の闘病生活で初めてのことだ。田中さんは、ごしんじょう療法という治療で症状が改善されていることを病院の女医に伝えた。医師は「電磁波ねえ…」と戸惑いながらも「まぁ、治療の妨げになるものではないから、続けていいですよ」と理解を示したという。
田中さんの症状が改善されていることから、医師は抗てんかん薬を半量に減らし、経過をみながら薬の分量も徐々に減らしく方針を立てているという。
「薬がなくなるとさらに楽になります。ごしんじょう療法を続ければ、いずれ薬が手放せると期待しています」と田中さんはさらりと話す。しかしながら、病気の進行を抑制することさえ難しいジストニアで、これほど症状が改善されることは現代医学では説明がつかないことだ。
「今が一番健康」 国際活動を本格的に再開へ
なぜこれほどまでにジストニアの症状がごしんじょう療法で改善されたのか。
第25、26回で紹介した症例と同様、貴田氏は「溜まっていた邪気を取り除いたに過ぎない」と言い切る。
「田中さんの場合、頭や首、肩、脊椎を中心に体全体に強い邪気がありました。田中さんご本人が、脊椎に電動バイブレーターを押し込んでいく治療を受けたのが発症のきっかけと言っていますが、強い電磁波を受けると、体内に大量の邪気(過剰な電磁気エネルギー)が生じます。そのほか、6年前から年に3回(がんセンターで2回、人間ドックで1回)、CTを受けていたことも強い邪気を生じさせた原因です。ごしんじょう療法によって、体の深部に溜まっていた邪気を取り除いたため、痛みや筋肉の痙攣が消失し、長年の引きつりが改善されたのです。
ジストニアは急増していますが、その本質は邪気です。邪気とは、今の科学の言葉でいえば、過剰な電磁気エネルギーです。ごしんじょう療法でその邪気を取り除き、生命エネルギーの場を正し、脳の電位が下がれば、自ずと症状が改善されるのです」(貴田氏)
田中さんは20代のころ、重度の身体障害者のための活動に参加。30代は海外協力活動に加わり、アジアを中心に途上国の教育協力活動に従事した。その後、ご自身で国際協力団体を立ち上げ、活動してきたという。
インタビュー取材の最後に、田中さんはご自身の思いを語った。
「治療法がないとされる難病は、かかった人でないとその苦しみ、不安感は分からないと思います。私はインターネットでありとあらゆる民間療法を調べて体験しましたが、どういうわけかごしんじょう療法にたどり着けず、どんな治療を受けても症状の変化は全くありませんでした。それでも難病の人たちは、常に治る方法を探しているんです。少しでも多くのジストニアの方がネットで貴峰道のホームページにたどり着き、ごしんじょう療法で症状が改善した私の体験を目にしてほしい。確かに治る治療法が存在することを知れば、希望が持てると思うからです」
多年にわたり弱者のために尽力してきた田中さんの「利他の心」は、この言葉にもよくあらわれている。
「ジストニアの症状に苦しんだ3年半は、家と病院と治療院を回るだけの生活で、対外的な活動はなかなかできませんでした。でも、ごしんじょう療法で病気の苦しみから解放され、心身がとても軽くなり、今が一番健康です」と田中さん。今後は国際活動を本格的に再開し、年内には数年ぶりに支援国を訪問する予定だという。
平成24年10月23日
久保田正子