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電磁波の健康被害

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都立豊多摩高校屋上のドコモ携帯基地局計画は白紙撤回

アンテナの高さは約8m。アンテナ、ポール、無線電源装置などの付属施設の重さは約3t。
3月20日、都立豊多摩高校(杉並区成田西)屋上に、都立高校では初めて、NTTドコモ(以下ドコモ)の携帯電話の中継基地局設置工事が始まった問題は、7月17日、「諸般の事情により工事再開の目途が立たない」とドコモの申し出によって、白紙撤回となった。
しかし、携帯基地局設置をめぐるこの問題は、職員、保護者、生徒、近隣住民に対する事前説明および同意を得ずに、学校長、教育委員会、ドコモの三者間で契約を交わし、強行に工事を進めようとしていたことだ。さらに、電磁波の危険性が指摘される折、生徒が毎日通う校舎の屋上に、電波の発信基地設置を認めた校長、教育委員会の責任が問われる。

東京都「使用許可を出したことに誤りはない」

携帯基地局建設計画は2007年7月、豊多摩高校校長が携帯基地局設置を内諾したことから始まる。2008年5月、豊多摩高校から東京都へ基地局設置のための校舎使用許可申請が出され、2008年6月、都教育委員会は「公益性が高く、近隣の建物状況を見ると、本校舎を使用するほかに方法がないと考えられ、当該学校長からも学校運営上支障がないと副申がなされていることから教育財産の使用許可を行うものとする」として、「教育財産使用許可」を出した。使用期間は2008年7月1日から2011年3月31日まで、使用料は、都行政財産使用料条例により算定し、月額19,711円を都が徴収していた。
豊多摩高校から約300m離れた位置に住む、けしば誠一杉並区議会議員は、「学校関係者からこの問題を知らされたとき、通信事業は公共性があるとはいえ、教育施設に営利目的使用を許可したことに疑問がわきました。3月31日、4月16日の二度にわたって学校長に面会し、生徒・保護者・近隣住民に対しての説明会を要望し、工事は一時中断となりました。当初は、電磁波に対する見識はなく、その後、電磁波市民問題研究会の大久保貞利氏を招いた勉強会を開き、電磁波規制が日本は海外と比べて極めて弱いことに驚きました。被害が起きては手遅れだと、区議会で豊多摩高校の問題を取り上げ、電磁波が与える健康リスクに対する区の責任を追及してきました」。
「基地局建設に反対する会」の地元住民は、「3月末の工事着工後、初めて基地局が設置されることを知り驚きました。『なぜ、学校屋上に携帯基地局を設置するのか』と質問すると、ドコモは『成田地区の住民から電波の入りが非常に悪いと苦情が出ている。成田地区は低層住宅が多く、高校屋上に基地局を設置してサービス向上に努めたい』と言います。私は高校のすぐ近くに住んでいますが、近隣住民への事前説明会はありませんでした。近隣説明会をドコモに要望すると、『個々に説明は行っても、近隣説明会はしない』との返答でした。電磁波の人体への影響について尋ねると、総務省のパンフレットを持参し、十分な説明もなく、『安全』の一点ばりで不快な思いでいました。5月の連休明け、5月18日に工事再開を知らせるチラシが、設置場所から半径60m内の約80軒にポスティングされました。これまでくすぶっていた気持ちが沸きあがり、『基地局建設反対する会』を立ち上げ、署名運動を急遽始めました。5月21日、183筆の署名を校長と都教委に提出し、1,基地局設置の見直し、2,工事を中止し、近隣説明会の開催を要望しました。 個人企業が公共施設に参入することは公共性に反しています。また、発達途中の子どもに与える電磁波の健康被害が欧州で報告されていることを聞き、教育施設への携帯基地局設置は許可してはならないと思ったのです」。
東京都は、「使用許可を出したことに誤りはなく、今後、他の学校に設置許可の要請があり、それが、規定に合えば許可を出す」と話す。「東京都は直下型地震などの大規模災害に備え、通信整備に力を入れています。今回の問題で、海外の電磁波規制を上げて、基地局設置の見直しを住民から要請されたが、都は総務省の安全基準を遵守し、判断せざるを得ない」

横浜市は市立学校に携帯基地局の設置認めず

電磁波問題市民研究会事務局長の大久保貞利さんは、今回の問題をどう見るのか。
同研究会は、1997年に横浜市教育委員会が市立小中学校全校に携帯電話よりも電波が微弱なPHSの基地局を設置したことに対し、横浜市学校事務組合、神奈川ネットワーク市議と連携して、250校中68校設置した段階で「全校撤去」させ、横浜市は市立学校に携帯電話、PHS基地局は以後設置しないことを約束した実績を持つ。豊多摩高校の基地局設置計画を聞いた際、大久保さんは「とうとう東京に来たな」と思ったと話す。
「東京都や校長は『今回の携帯基地局から発信される電磁波は、国基準の100万分の一でまったく安全』と説明するドコモの主張を鵜呑みにして、設置を許可しました。しかし、フランス・ローヌ地方ウーラン市は、『子どもが通う施設の100m以内に携帯電話基地局をつくってはならない、その施設の周囲では電界強度は0.6V/m以内とするという行政命令を発しています。日本の規制は3kV/mですから、フランスと日本の安全基準は、2,000倍の開きがあるのです。さらに、基地局の電磁波は1日24時間周囲に放射され、140〜280mの距離区画が最も強いため、近隣説明会は開くべきでしょう。これまで私たちの会では、約100基に及ぶ携帯基地局の建設を市民パワーで阻止してきました。しかし、全体の基地局数からみればほんのわずかに過ぎません。電磁波の影響が世界的にも問題にされている今、携帯基地局の設置は教育施設や保健施設などから一定の距離を置くなどの予防原則は必要です」
都立高校初の携帯基地局設置は白紙となったが、まったく安堵はできない。今回の問題で保坂展人衆議院議員がドコモに対し、教育施設における基地局の設置状況を求めたところ、ドコモだけで全国の小・中・高・大学・短大・高専380ヶ所(内公立学校120校)の屋上や敷地に基地局を設置していることが分かった。設置された学校名は公表されていないが、設置された学校は、果たして生徒、教員、保護者、近隣住民に対して事前説明会を開いているのだろうか。
電磁波の人体に与える影響を伝える情報メディアは欧米に比べて日本は大変少ない。しかし、情報メディアを主体的に読み解いて必要な情報を引き出し、その真偽を見抜き、活用するメディアリテラシーを、教育施設の責任者たる自治体、校長は身につけるべきだ。

(『建築ジャーナルNo.1154』 2009.8.1発行)