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電磁波の健康被害
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「小児白血病倍増」で論争決着へ! 電磁波から家族を守る法

「電力会社などから圧力がかかって、もっと高い数値になるといううわさもあっただけに、うれしいですね」
そう語る清水和子さん=埼玉県北本市在住=は2児の母。同市では、小学生の子供たちが放課後を過ごす学童保育室が、近くの高圧送電線から出る電磁波にさらされているとして、親たちが一致して自治体や東京電力と交渉。昨年4月、市立東小の学童保育室を送電線から離れた場所へ移転させることに成功した。
その中心となった清水さんが安堵したのは、国立環境研究所と国立がんセンターが99年から実施している全国疫学調査で「日常生活で被曝する電磁波の平均値が0.4マイクロテスラを超えると、小児白血病の発症率が2倍以上になる」との結果が出た―という全国紙の報道が相次いだからだ。
調査は、15歳未満の白血病の子供約350人について、室内の電磁波の測定はもちろんのこと、送電線までの距離や電気製品の使用状況まで調べ、健康な子供約700人と比較するという大がかりなものだ。結果は世界保健機関(WHO)が来年中にまとめる新環境基準にも反映される。
この「0.4マイクロテスラ」、従来からあるガウス単位に換算すれば4ミリガウスという数値が、いかに衝撃的か。今回の調査対象は、携帯電話に使われるマイクロ波ではなく、送電線や家電製品から出る超低周波(50〜60ヘルツ)なのだが、「この超低周波については、90年代までに数ミリガウスでもがんを増加させるとの報告がいくつも出た。にもかかわらず電力会社側は、15年前のWHOの報告書に一見解として記載されているにすぎない『5万ミリガウス』という数値を、さも確定した安全基準であるかのようにふりかざし、電磁波は安全だと言い張ってきた」(電磁波問題全国ネットワーク「ガウスネット」の懸樋哲夫事務局長)
それが実は、わずか1万分の1に満たないレベルでも小児白血病を倍増させるというから驚かされる。
世界に目を向ければ、すでにスウェーデンでは学校や幼稚園のそばから送電線を撤去し始めており、アメリカでも自治体や電力会社が厳しい規制値を打ち出す例が増えている。WHOも昨年、超低周波に発がん性がある可能性を認めた。これまで「タレ流し状態」だった日本も、今回の調査でようやく論争に終止符が打たれそうだ。電力業界はもちろん、「有害である証拠はない」との立場を取ってきた国、何の規制値も持たない電気メーカーも、対応を迫られるのは間違いない。
「2ミリガウスでも小児白血病は増加するという報告もあり、4ミリガウスは決して『それ以下なら安心』というレベルではない。少なくとも新たに送電線を設置する場合には『慎重なる回避』の原則に立ち、周辺の住居や施設の規制値を2ミリガウス以下とするべきです」(懸樋事務局長)

被曝量は強さ×時間で知れ

ならば次は、具体的に私たちは、どのくらいの電磁波を浴びていて、それらにどう対処すればいいか―が気になってくる。
そこで本誌は、実際に「ガウスメーター」と呼ばれる電磁波測定器で家電製品から出る電磁波の強さを測ってみた。すると、一部の強い磁場は壁や床を越えて広がっていた。
『電磁波はなぜ恐いか』などの著書があるジャーナリストの天笠啓祐さんは、
「超低周波の電磁波は、コンクリートさえ通り抜けるため、防御は難しい。とにかく発生源からできるだけ離れることが原則です。家電製品の多くは、数十センチか.ら1メートルほど離れれば1ミリガウス以下になります」
台所は「新三種の神器」などと呼ばれる電磁調理器や電子レンジなど強い電磁波を出す家電製品が多く、最も被曝しやすい場所だ。次に注意したいのが「体に密着させて使うもの」や「長時間使うもの」で、電気毛布やホットカーペットがそうだ。
ドライヤーから出る電磁波も強い。最近はシャワー付き洗面台が普及し、出勤前や登校前に洗った髪をドライヤーで延々と乾かす若者も増えている。
「電磁波から受ける影響は、強さ×時間で決まる。弱い電磁波でも24時間浴び続ければリスクが高まるし、逆に強い電磁波でも体から十分に離し、浴びる時間を減らせばリスクも減る」
そう指摘するのは環境問題評論家の船瀬俊介氏だ。
日本のほとんどの一般家庭では、平均磁界は1ミリガウス前後ともいわれる。小児白血病も10万人に3〜5人という病気で、むやみに恐れていても仕方がない。
ただ、やはり気になるのは高圧送電線や電柱の配電線、地下送電線、変電所など屋外から侵入してくる電磁波だが、こちらは個人で対処するのは難しい。
電磁波のリスクを訴えてきた荻野晃也・京都大工学研究科講師は、
「もし電磁波を避けられない環境なら、たばこの煙や農薬、添加物、ストレスなど他の要因を減らせば、総合的な発がんリスクは下げられる。電磁波だけを異常に心配する必要はない」
とアドバイスする。
とはいえ、電磁波の影響を特に受けやすい子供たちが長時間を過ごす施設では対策は急務だ。東京都小平市の上宿小学校では、校庭の端を27万5000ボルトの高圧線が走り、3階にある6年生の教室では電磁波が9ミリガウスに達した。このため、5年前からこの教室を児童会室とし、事実上の「空き部屋」にした。
「親や教師の立場では、因果関係が明確でなくても、できる範囲でリスクを回避する責任がある」
同校の図画工作教師、前田俊宣さんのセリフを国や業界はどう聞くのか。

もう電磁波公害を無視できない

一方、家造りの段階から電磁波対策を施そうという動きもある。
東京都目黒区の一級建築士事務所「アンビエックス」社長、相根昭典さんは、
1、電線はいったん柱で受けて地中を経由し、人の出入りの少ない納戸などから引き入れる
2、屋内配線はパイプでシールドして、廊下や部屋の端など人が居住しないところをはわせる
3、余分なコンセントは設けず、家電製品をまとめて置くレイアウトにする
などの電磁波軽減策を依頼主に提案している。
「新築の場合だけでなく、リフォームでも電磁波対策は可能です。今後はさらに関心が高まり、設計面でもスタンダード化していくでしょう。」(相根さん)
しかし、もっとも効果的なのは、言うまでもなく電力会社や電気メーカーが積極的に電磁波対策を講じることだ。論争はほぼ決着したのだから、あとは業界に任せて…と願いたいところだが、実態はどうか。
全国の電力会社で構成する電気事業連合会の森望・工務部副部長は、
「報告書が出れば、その中身をよく調べたい。仮にそういう結論であったとしても、電磁波以外の要因を捨てきれるのか。いずれにせよ、すぐに(電磁波対策を)やりますとはならない」
前出の荻野氏が言う。
「米国では、送電線周辺の環境を2ミリガウス以下にするのに30兆かかるとの会計検査院の報告がある。電線下に民家が多い日本では、もっとかかるだろう」
電力会社やメーカーが電磁波問題から目をそむけるのも、危険性を認めれば経営を揺るがしかねないと恐れているからだ。
「根本的な解決策は、現在の交流送電を電磁波の出ない直流送電に転換するしかない。すでに一部のメーカーではその技術を蓄積している」(船瀬氏)
電磁波公害は超低周波だけではない。携帯電話やビル屋上にニョキニョキと伸びる携帯電話基地局アンテナから出るマイクロ波も、健康への悪影響が指摘されている。携帯の普及率は55%を超えたとはいえ、国内でも各地でアンテナ建設反対運動が起きており、厳しい規制を求める声は強まっているのだ。
「21世紀の公害」といさえ呼ばれる電磁波問題を日本だけが無視することは、もうできなくなった。

本誌・平野幸治
(『サンデー毎日』 2002.9.15発行)