15歳未満の子どもへの電磁波による健康影響について、日本で初めての疫学調査結果が公表されました。結果は、部屋の磁場が4ミリガウス以上の子どもは、1ミリガウス未満に比べ、小児白血病に2.63倍かかりやすく、急性リンパ性白血病だけをみると発症率は4.73倍に増加。また8歳未満の子どもに限定すると7.25倍まで増えました。
小児脳腫瘍の調査も行われており、4ミリガウス以上の子どもの発症率は0.5ミリガウス未満に比べて10.6倍でした。
諸外国の疫学調査を裏付ける内容
この研究は、文部科学省の予算で国立環境研究所が中心となり行ったものです。公表に至るまでには不可思議な過程がありました。昨年8月に朝日新聞が「中間解析で小児白血病リスクが2倍」という記事を掲載。その反響は大きく、最終結果の公表が待たれました。
今年1月に、文部省は評価報告書を公表。しかし肝心の調査結果の詳細はほとんどなく、文部省の評価が最低のC(優れた研究ではない)であることだけを公表したのです。文部省がC評価の理由として挙げている症例数の少なさなどの問題は、海外の従来の研究と比べて、勝りこそすれ劣るものではありません。
電力会社は「この研究はC評価だから信用できない、だから電磁波は危ないとは言えない」と、この研究の社会的影響を弱めようと躍起になっています。
この研究結果の意義は、海外での従来の研究に共通する「4ミリガウス以上でリスク増大」という結果が、日本でも再確認されたこと。
研究結果は論文として国際学会誌に投稿中です。国際的な評価が下されるときに、文部省のC評価が正当だったのかが、逆に問われます。今後の動向に要注意です。
植田
(『食品と暮らしの安全No.171』 2003.7.1発行)