高圧線や電気製品からでる電磁波と小児白血病に関連性ありという新たな調査結果が、イギリス政府機関の疫学者チームによって3月6日に公表されました。
英政府は1999年に国内で独自に小児ガンの子ども2,423人と同数の健康児を対象にした疫学調査を行い、「関連なし」という結果を出していました。しかしその調査には強い磁場に暴露している人のデータが少ないなどの不備が指摘されたので、今回諸外国の調査研究のデータも含めて再検討したのです。その結果「4ミリガウス以上の環境では、15才以下の子どもの白血病のリスクが2倍になる」とこれまでの見解をくつがえす結果を出しました。
イギリスの疫学調査で強い磁場への暴露データが少ない理由には、ヨーロッパの定格電圧が220Vと日米の110Vより高い点が指摘されています。磁場は電流に比例するので、同じ電力を使った場合、ヨーロッパでは、電流は日米の1/2、磁場も1/2になるからです。
研究者の間では、今後は強い磁場に暴露している人を多く含む調査が必要と言われています。そこで注目されているのが日本。強い磁場を発生する送電線が、住宅の近くに張り巡らされているので、大規模な高被曝のデータがでてくるのではと、研究者の間では懸念されているのです。日本に住んでいる私たちは、世界的にも高いリスクにさらされていることになります。
植田武智
(『食品と暮らしの安全No.144』 2001.4.1発行)