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携帯電話基地局が原因の死 ブラジルの大都市で多発?

ブラジルの国立ミナスヘライス大学の研究チーム(構成10人)が、「携帯電話基地局から発信される電磁波で腫瘍になり、死に至る可能性がある」とする研究結果を発表しました。研究チームの責任者はアディルサ・コンデッサ・ドーデ博士です。
ミナスヘライス州にあるブラジル第3の都市・ベロオリゾンテ市において、1996年〜2006年の10年間で、腫瘍のため死んだ人が、携帯電話中継基地局が集中して建つ地域に多いことから、研究チームはその地域の電磁波曝露量を調べ、上記のような研究結果に至ったのです。

基地局から500m以内に

研究結果によれば、2006年12月以降にベロオリゾンテ市内に新規に建設された基地局数は856基です。
それら新規に建設された基地局の約4割(39.6%)は、市の中南部にある「セントロ・スル地区」に集中して立地しています。
セントロ・スル地区で、1996年〜2006年の10年間に、基地局から500m以内の地域に住み、腫瘍で死んだ人は7191人。その死亡割合は1万人当たり34.76人となります。
同時期に、基地局から500m以遠に住んでいて腫瘍で死んだ人の割合は、これよりも小さかったのです。
セントロ・スル地区において、基地局から500m以内で最も腫瘍死が多かった場所での腫瘍による死亡割合は、1万人当たり58.3人でした。
一方、基地局建設が比較的少ない地区である「バレイロ地区」で、さらに腫瘍死が最も少ない場所(当然基地局から500m以遠)での腫瘍による死亡割合は、1万人当たり20.5人となります。

曝露数値も発表された

ベロオリゾンテ市内で電磁波環境モニタリングをした結果によると、市内で電場が最も多かった所では「12.4V/m(ボルト/メートル)」。
反対に最も少なかった所は「0.4V/m」でした。
同じく、市内で電力密度(高周波の場合、このような測定単位が使用される)が、最も高かった場所は「40.78μW/cm2(マイクロワット/平方センチメートル)」で、反対に最も低かった場所は「0.4μW/cm2」でした。
研究チームは、腫瘍の死者数は市の保健局統計数字を使い、基地局数は国の通信省の統計数字を使用しています。
また、人口推移データや地図は、ブラジル地理統計研究所から入手し、これらのデータを基に、環境疫学手法を使って解析作業を行いました。
日本では、基地局の配置データが「企業秘密」として出されません。これは国民の知る権利の侵害です。
日本でもこうした研究が進められる必要があります。

大久保貞則(電磁波問題市民研究会事務局長)
(『食品と暮らしの安全No.272』 2011.12.1発行)